【結果レポート】
コミュニケーションロボットを使用した
高齢者施設におけるレクリエーション実証実験
- ロボティクス
- ロボティクス・RPA
当社は、高齢者施設でコミュニケーションロボットを活用することによる、施設利用者の運動能力とモチベーションの推移、場の活性化への影響、およびスタッフ業務の省力化を調査するため約2か月間の実証実験を行いました。
今回はその内容と実証実験の結果をご紹介します。
※写真は別イベントでのコミュニケーションロボットレクリエーションの様子です。
<実証実験概要>
実証実験の目的
以下3点について、ロボットを体操レクリエーションで使用することによる影響を測る。
※高齢者施設でレクリエーションの時間に行う体操では、日々の活動量を増やすことを目的として、無理なく楽しく体を動かすプログラムを行う。
- 利用者の運動能力とモチベーションの推移
- 場の活性化への影響
- スタッフの業務省力化
実証実験の方法
実施期間中、週2回~5回、20分~30分程度、体操レクリエーションの時間にロボットを使用し、各調査内容について以下のように必要な記録をとり、集計・分析。
①利用者の運動能力とモチベーションの推移 :歩行分析ツールでの歩行状況の記録
頻度:実証実験実施前、中間、実施後
②場の活性化への影響 :アンケートの記入(スタッフ、利用者)
頻度:実証実験実施前、実証実験開始直後、中間、実施後
項目:利用者の意欲の変化、笑顔、参加の様子の変化 など
③スタッフの業務省力化 :記録表の記入
頻度:レクリエーション実施毎
項目:運営スタッフ数(常時/スポット)、所感など
高齢者施設向け コミュニケーションロボットサービス Link&Robo for ウェルネス
レクリエーションに参加した利用者
施設入居者と施設に通うデイサービス利用者を対象とし、参加者を「年代」「介護度」「自立度」に分類しました。
※入居(入所施設)は、施設に入居し、介護スタッフの介助や支援を受けながら生活する施設です。デイ(通所施設/デイサービス)は、自宅介護をベースとして、日帰りで通う施設です。
実証実験の結果
①利用者の運動能力とモチベーションの推移
- 「歩行分析ツール(※)」で利用者の歩行の様子を計測した結果、短期間ではあるものの実証実験期間は歩行能力を維持できていることがわかった
- ロボットが行う運動に対し、直後にマイナス評価・どちらでもないと回答した方も、継続することで好意的な印象に変わる傾向がみられる
- ロボット活用で「楽しい気持ち」がうまれ、運動への参加意欲向上や継続性につながる可能性がある
②場の活性化への影響
- スタッフにも利用者が楽しんでいる様子・雰囲気が伝わっておりコミュニケーションの活性化・継続への貢献を期待できる
- 利用者は回数を重ねることでポジティブ評価が増え、楽しいと明確に回答する人が増えた
③スタッフの業務省力化
- 操作を覚えることや準備・片付けなどロボットを使用したレクリエーション運営にかかる新たな作業については、 実証実験開始直後と事後を比較すると負担感は減少しており運用の工夫や慣れで徐々に軽減できる可能性がある
総評
- コミュニケーションロボットをレクリエーションで活用することで、運動などの日常生活動作への意欲向上につながる可能性が確認できたため、将来的にはロボットが生活全般にわたって利用者の活動を励まし、促す役割を担うサービスとなり得るのではないか
- 体操以外の機能(おしゃべりなど)を利用し、ロボットと利用者の関係性を深めることでさらなるコミュニケーションや場の活性化促進が期待できる
- 今後の課題は、安定的に利用できることを前提として、スタッフがより簡単・気軽にロボットを利用できるよう、操作性や初期導入支援を充実化することである
今後の展開
本実証実験での結果をふまえ、高齢者の健康寿命の延伸と、介護人材の確保という社会課題解決に貢献できるよう、サービスの向上と普及に取り組んでまいります。
資料ダウンロード
本実証実験に関する詳細資料をご用意しています。ご希望の方は、以下よりダウンロードください。
関連するソリューション
※Aldebaranの小型二足歩行ロボット「NAO」を活用し、三菱総研DCSにて独自にサービス提供をしています。
※「NAO」はAldebaranの登録商標です。