<導入事例>
ユーザー視点を中心においた新サービス検討のアイディエーション
~UXデザインプロセスで本質の議論を可能に~

アコム株式会社 様

  • UX・UI
  • 金融業
  • 顧客価値向上
写真上段 左から、三菱総研DCS 清水学/岸達郎
写真下段 左から、アコム株式会社 齊藤雄一郎様/平田絢子様/山口潔人様 三菱総研DCS 野口友幸

テーマ

UXデザイン

期間

1回

概要

企画の発想を広げるUXデザインプロセスを用いたワークショップの実施
お客さま目線の獲得により業務における企画内容の質が向上

課題

・企画発案に際し、目先の成果にとらわれ、似たような企画になってしまう
・企画内容が各担当者の業務範囲内に寄ってしまい、発想に広がりがなかった
・定期的に企画提案の場を設けていたが、繰り返すうちに、アイデアが過去施策の延長線上になりがちだった

提案

・UXデザインプロセスを用いたアイディエーションワークショップによって、ユーザー視点を中心に置いた新サービス企画作りを体験する
・業務を横断した多様なチームメンバーを構成することで、ワークによる発想を広げる

成果

・ワークショップ当日は、徹底した雰囲気づくりにより、メンバーは日常業務での立場に関わらず積極的な参加姿勢で、アイデア発想が活発になった
・日常業務にて再現性のあるワーク体験から、メンバーによる自発的な勉強会へと発展していった
・これまでの企画検討に比べて、より具体的なユーザー設定をした上での体験を描いて企画発案するようになった

01 課題と提案
長くこの先の企画業務に有用なユーザー体験視点での共創のアプローチ

アコム株式会社様の営業企画部・営業推進部では、半期に一度、今後の施策をメンバーが提案する「施策検討会」を実施しています。しかし、施策検討会を継続して実施するなかで、課題も抱えていらっしゃいました。DCSメンバーは課題を深くヒアリングし、ご提案に臨みました。

Q.アコム様ではどのような課題をお持ちで、今回のワークショップ実施に至ったのでしょうか。

齊藤様:
どうしても目標の数字があるので、「施策検討会」での企画であっても、数字の獲得やデータに依存した提案が多く、お客さま目線が足りないと感じていました。そういったアイデアばかりだと、いざ施策を実施するか判断する際に「誰のためにやるのか」がブレてしまいます。
また、施策検討会ではひとりひとりが施策を検討し提案する流れを取っていたので、提案内容が各メンバーの業務範囲や知識に偏ってしまい、広がりがありませんでした。施策検討会を定期的に開催してきましたが、過去から同じような提案が繰り返し出てきていることも課題として感じていました。
もっとお客さま目線を持ってアイデアを広げられないかなと考えていたところでした。

営業企画部次長 企画・開発チームリーダー
齊藤雄一郎様(ワークショップ主催者)

Q.そのような課題に対し、DCSからはどんな提案があったのでしょうか

齊藤様:
私たちが抱えている課題や現状を深くヒアリングしてくださった上で、研修のパッケージを当てはめるようなものではなく、UXデザインの学びもアイディエーションも叶えられるようなオリジナルなワークをご提案いただきました。
実はお会いした当初は別のご提案をいただいていたのですが、ヒアリングの度にご提案をブラッシュアップいただけて、最終的に当時の私たちに最適な内容にしていただけました。

山口様:
印象的だったのは、ワークショップをファシリテートする方自らが「テストプレイをしてみた」と活き活きとおっしゃられたことです。これは絶対に楽しく学びながら参加できるものになると確信を持てましたし、熱意も感じましたね。

ワークのグループ分けも、普段の業務であまりコミュニケーションを取らない組み合わせで実施したいとご相談していて、それも叶えていただけました。

02 導入準備
準備段階で取り組む気持ちをつくる

“参加者にとって有意義なワークショップになるように。”事務局として主催された齊藤様、山口様から参加者へ開催の目的を伝え、ワークショップに取り組む気持ちを作っていきました。

Q.ワークショップを成功させるために事前に準備されたことや気を付けた点はございましたか。

齊藤様:
当日のゴールを高く設定し過ぎず、やわらかい雰囲気で実施できるよう配慮しましたね。タイトなタイムスケジュールでしたから、「インプット9割、アウトプット1割」であることや、提案の質は求めていないこと、アイディエーションの方法を学んでほしいことを参加者にしっかり伝えました。
また、当社のお客さまは年齢層の若い方が多いので、よりお客さま目線に近く考えられるように、参加者は若手に絞りました。

山口様:
当日スムーズにワークに入っていけるように、事前にDCSさんからいただいた資料をもとにUXデザインプロセスの全体像は参加者に説明しておきました。
また、過去に自社内でアイデア出しをすることもありましたが、どうしても会議のような雰囲気になってしまい、役職のついている人など発言力の強い人の意見が採用されることがありました。そうはなってほしくなかったので、会場を自社の会議室ではなくDCSさんにご用意いただくようお願いしました。

サービスの問題発見と改善、新しいサービスの創出、アイデアの具現化などビジネスを後押しする「UXデザイン」の全体像。

03 実践
これぞUX。人間中心の場づくり

ワークショップを有意義にできるかは当日の場づくりにかかっていると言っても過言ではありません。DCSの入念な準備がそこにはありました。

Q.DCSがワークショップ成功に向けて気を付けていたと思われる点はございましたか。

齊藤様:
当日の会場の雰囲気づくりには驚かされました。アップテンポな音楽が流れていたり、ファシリテーターの方々がTシャツを着ていたり。なかなか自分たちでは思いつかないような工夫がたくさんありました。

平田様:
今日はいつもとは違う!肩ひじ張らずに楽しく参加できそうだ!と会場に入ってすぐ感じましたね。会場も広く開放的で、普段の業務から離れて議論が活性化する空間を実感しました。

齊藤様:
(ワークショップが)初めての取り組みではあったので、どうしても議論が逸れてしまうような場面もありましたが、ファシリテーターの方々が強制的に軌道修正するのではなく、参加者に自然に気づかせるように助け船を出してくださっていましたね。

山口様:
ランチタイムまでストーリー性のあるものを周到に用意されていたのにも驚きました。私たちが企画にストーリー性を持たせたいことともリンクしていましたし、それによって参加者たちにコミュニケーションが生まれていましたね。

営業企画部 企画・開発チーム 担当課長
山口潔人様(ワークショップ主催者)

04 成果と気づき
実務に活きる、UXデザイン

ワークショップ当日を終えた参加者の皆様には、実務への取り組み方にも嬉しい変化が生まれました。

Q.ワークショップの参加後にご自身の業務への取り組み方で変わった点があればお聞かせください。

平田様:
普段の企画業務でも、カスタマージャーニーを考えるようになりました。これまでは社内にあるお客さまのデータをもとに、属性等から企画を考えていたのですが、今回のワークショップでペルソナの生活や気持ちを想像したことで、よりお客さまの気持ちに寄り添った企画が立てられるようになったと感じます。

齊藤様:
ワークショップでお客さまを中心に置く施策を検討するプロセスが学べたので、以前よりもメンバーたちから提案される企画の説得力が増しましたね。これまでと類似の企画内容であっても、お客さまの顔を思い浮かべたものだと伝わってくるようになりました。

平田様:
どうしても目標の数字があるので、「ボリューム」に重きを置いた企画を考えがちだったんです。でもボリュームを意識しすぎてお客さま像がぼんやりしてしまって、本当に必要としている人がいるのか分からない企画になってしまうことがありました。ペルソナを意識することで、こんなに企画に説得力が増すとは思っていませんでした。

営業企画部 企画・開発チーム 係長
平田絢子様(ワークショップ参加者)

Q.実際にワークショップを行ってみた感想をお聞かせください。

山口様:
自社だけではできない当日の雰囲気づくりだったので、本当にお願いして良かったです。DCSさんに入っていただくことで、参加者たちは業務から離れたフレッシュな気持ちでアイディエーションが出来たんだと思います。

平田様:
座学もあり、アイディエーションのワークありとハードなスケジュールではありましたが、全然疲れを感じずにあっという間に1日が過ぎました。途中はワークに集中し過ぎて、自分の上司が周りにいることも忘れていました(笑)。

山口様:
参加者たちがすごく楽しそうで、自分も議論に入りたくて何度か意見を言ってみたのですが、全く目に入っていない様子でしたね(笑)。普段の業務では見せないような前のめりの姿勢を見せているメンバーもいて、すごく驚きました。アイデアも業務内では出てこないようなものがたくさん出ていましたね。

齊藤様:
お客さまを中心にして考えることで、本質的な議論ができるようになるんですよね。UXは消費者として考えられるという点で、経験の浅い若手メンバーでも自分の体験から発想のヒントを得られます。非常に取り組みやすいテーマだと思うので、アイデア創出に課題を感じている方々にはオススメしたいですね。
実際に参加者の中には普段プロモーションの業務をしていて企画書を書いたことがないメンバーもいたのですが、参加後は企画の楽しさにも気づけたと、想定していなかった嬉しい声も聞けましたね。

山口様:
ご相談の時点で、再現性のあるワークをやっていただきたいとお願いしていたのですが、実際に平田のグループでは何度かワーク後にも集まって施策を再検討したと聞いています。

平田様:
当日の自分たちのアウトプットに満足できなかったので、改めてやり直しました(笑)。楽しいワークだったので、自主的に再チャレンジする気持ちになれたのだと思います。
当日一緒に過ごしたグループのメンバーとも信頼関係が生まれて、普段の業務でも連携がしやすくなりましたね。

齊藤様:
DCSのUXデザインチームには、たった1回のワークショップでしたが、それによって抱えていた課題にしっかりアプローチしていただけて、参加者たちからも好評の声をたくさんもらいました。UXデザインに取り組む一歩目として、非常に効果があったと満足しています。今回はUXデザインプロセスの分析フェーズを取り上げて実施しましたが、今後はその後のフェーズへの学びやサポートにも期待しています。

企業プロフィール

アコム株式会社 様

アコムは『一人でも多くのお客さまに最高の満足を感じていただき、個人ローン市場において社会に信頼される「リーディングカンパニー」を目指す』を経営ビジョンに、ローン事業、クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業、債権管理回収事業を展開。MUFGグループの一員として、消費者金融市場の健全な発展に寄与している。

編集後記

野口 友幸(UXデザインGr リーダー)

今回のワークショップは、デザイン思考やUXデザインの手法を単に学ぶ研修ではなく、“新サービスを企画する”というテーマを用い、ご参加いただくみなさまの実務に連動したUXデザインを体感していただきました。

オリジナルのUXデザインワークショッププログラムを作成

実際の業務上のテーマで取り組んでいただくために、運営側の齊藤様、山口様とは複数回に渡る事前打合せで、実際の顧客データからユーザー像であるペルソナ作成やアイデア発散の仕掛け、当日のグループピングに至るまで、準備段階のご協力をお願いし、参加者にマッチしたワークショップを開催することができました。

創出されたアイデアの実現に向けて

UXデザインワークショップで創出されたビジネスアイデアは、後日、アコム様社内で継続してブラッシュアップされたそうです。
実際に施策化されたり、日々の業務にUXデザインのアプローチがインストールされる状況は、ワークショップ開催の効果でもあるので、嬉しく思います。

清水 学(プロジェクト担当)

ファシリテートで意識したのは、主役は参加者のみなさまということ。みなさまに主体的に考え発想してもらうために、心がけたことは、主に4ポイントです。
(1)質問があっても答えは出さずに考えだすきっかけを与えること
(2)個人だけでなくグループ単位で参加者をみてグループに問いかけをすること
(3)ワーク時間を厳しく設定し、ひらめきを大切にしてもらうこと
(4)全体の空気感を大切にして事前に決めた時間もフレキシブルに変更すること(変更したことは参加者には基本伝えない)

新しいアイデアを生むためには、適切なフレームワークも重要ですが、日頃から注意深く世の中を見てその中で気になることを自分なりに分析し、新しい違った組み合わせを考え続けることだと思っています。
参加者のみなさまが、普段の仕事でもワークショップで得たことを使ってくださっているということでとてもうれしく思います。
当社のUXデザイナーは、お客さまに伴走し目指す目的の達成に向け、培ってきた経験や技術を活かし最適な進め方をご提案します。

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