「クラウドロックイン」を解消せよ!
~クラウドでのデータ運用課題を解決する「マルチクラウドストレージ」とは? ~

2023.01.05

  • クラウド・マルチクラウド
  • コスト削減

近年、企業では「Amazon Web Service(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」に代表されるパブリッククラウドサービス(IaaS/PaaS*)が、ビジネスを支えるインフラとして、重要な役割を果たすようになりました。多くの企業では、長引くコロナ禍を踏まえてDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる推進を掲げ、情報系から基幹系まで多様なシステムでクラウドの利活用が広がっています。

また、その中で必要に応じて複数のクラウドサービスを使い、迅速・効率的なビジネス展開を目指す「マルチクラウド」、オンプレミスのデータセンター内にプライベートクラウドを構築して併用する「ハイブリッドクラウド」も、一般的になりつつあります。

しかし複数のクラウドを利用するとなると、データの管理が複雑になる、クラウドをまたいで柔軟に活用できない、クラウドサービスに業務が依存してしまう「クラウドロックイン」といった、新たな課題も顕在化します。そこで今回は、企業のクラウド利用におけるデータ管理と活用の課題点を洗い出し、その解決策として注目の高まる「マルチクラウドストレージ」について、解説します。

  • IaaS:Infrastructure as a Service / PaaS:Platform as a Service

<INDEX>

01

クラウド利用企業が直面するデータ管理・活用の課題

課題①:クラウドサービスに業務が依存してしまう「クラウドロックイン」
課題②:クラウドサービスごとにサイロ化されたデータが柔軟に活用できない
課題③:複雑化するデータ管理がもたらすリスク
課題④:監査対応・ガバナンスでの懸念
課題⑤:クラウド障害でビジネスが「止まる」リスク

02

クラウド利用時のデータ活用課題を解決する「マルチクラウドストレージ」とは?

メリット①:これまでと変わらない操作性でクラウドをまたいだデータ活用が可能に
メリット②:高いレスポンス性能で幅広いシステムで利用可能
メリット③:通信回線費用も含めたデータ運用コストの削減
メリット④:重要なデータもセキュアに保管
メリット⑤:クラウドロックイン解消、ビジネス継続性の向上

03 おわりに~セキュリティの不安からクラウド利用が進まない企業にもオススメ

クラウド利用企業が直面するデータ管理・活用の課題

クラウド活用は、システム維持に関わる運用負荷の削減やテレワークの推進などでビジネスに大きな効果をもたらす一方、現場ではさまざまな課題が顕在化しています。どのような課題があるのか、見ていきましょう。

クラウド利用におけるデータ管理・活用の課題

課題①:クラウドサービスに業務が依存してしまう「クラウドロックイン」

企業がクラウドサービスを利用する中で、特定のベンダーが提供するクラウドサービスに自社の業務環境が縛られてしまう「クラウドロックイン」への懸念が高まっています。

例えばサービスの利用条件や料金体系が変わった場合、運用コストだけでなくビジネスの柔軟性にも大きく影響します。また、クラウドサービスではデータの保管コストを安く抑える代わりに、データのダウンロードにかかる費用を高めに設定しているケースがあります。このような料金設定が、他のサービスへの移行を難しくしています。

課題②:クラウドサービスごとにサイロ化されたデータが柔軟に活用できない

複数社のクラウドサービスを必要に応じて利用する「マルチクラウド」の場合、データがクラウドサービスごとにサイロ化され、その結果、複数のクラウド間あるいはオンプレミス環境との間のデータ共有が困難になるリスクも顕在化しています。

いざデータを使うとなったときにデータが柔軟に活用できず、実現したいビジネスアイデアを諦めざるを得なくなった、というケースは少なくありません。

課題③:複雑化するデータ管理がもたらすリスク

事業部門のニーズに応じてさまざまなクラウドサービスを利用すると、データが各クラウドサービス内のストレージに「分散」してしまうことになります。すると、情報システム部門はその所有者を把握できず、アクセス制御や暗号化ポリシーに対する制御が十分になされていないといった事態につながりかねません。

また、成り行き任せにマルチクラウド化してしまうと、情報システム部門のストレージ管理業務が重複してしまう、業務が複雑になることで、データ管理が杜撰になり、データが適切にバックアップされなくなるというリスクがあります。

課題④:監査対応・ガバナンスでの懸念

市場を席巻するいわゆる「メガクラウド」は、いずれも米国企業が提供しています。クラウド上のデータには米国の法律が適用されるため、情報開示などの要請があれば日本企業であっても従わなければいけません。これは監査対応やガバナンスの観点で、大きな懸念となります。

課題⑤:クラウド障害でビジネスが「止まる」リスク

クラウドサービスを利用することで発生するリスクは、クラウドサービスに何らかの障害が発生した時点で大きく顕在化します。最近の例では、2021年2月に発生したクラウド障害で、鉄道会社や国の防災関連のサービスなどに影響が出ました。また、2021年9月のクラウドの大規模障害による影響はインターネット証券各社、大手携帯通信キャリア、気象庁や航空会社など、広範囲に及びました。クラウド利用企業は、こうした障害発生時のビジネス継続への対策も、念頭に入れておく必要があります。

このように多くの企業ではいま、「目的に応じて複数のクラウドサービスを使い分けたいが、ロックインは避けたい」「重要なデータはセキュリティの高い環境でコントロールしたい」というニーズが、高まっているのです。

クラウド利用企業が直面するデータ管理・活用の課題

クラウド利用時のデータ活用課題を解決する「マルチクラウドストレージ」とは?

こうしたニーズに応える手法の一つとして、近年「マルチクラウドストレージ」というソリューションが注目を集めています。

「マルチクラウドストレージ」とは、複数のクラウド(マルチクラウド)利用時やオンプレミスとクラウドとの併用(ハイブリッドクラウド)時に、透明性の高いプライベートデータセンターでデータを一か所に集約・管理する手法です。

データを一元管理することで、各々のクラウドサービスに依存するクラウドロックインから解放することができます。さらに、データ管理の効率化と共にデータの柔軟な活用とコスト削減も実現します。

クラウド利用企業のデータ管理・活用課題を解決するマルチクラウドストレージ

「マルチクラウドストレージ」のメリット

ここからは、三菱総研DCSが提供する従量課金型マルチクラウドストレージサービス「Dibertas(ディバタス)」を例に、「マルチクラウドストレージ」のメリットをご紹介します。

Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureから使用可能なこのサービスは、クラウド上に保管されたデータを安全な国内データセンター(あるいはお客様所有のデータセンター)に集約し、一元管理します。そしてこのデータセンターと各クラウドサービスを冗長化した専用回線で接続することで、データをクラウドロックインから解放し、データ活用の柔軟性・利便性を高めると共に、データの機密性、安全性も高めます。

メリット①:これまでと変わらない操作性でクラウドをまたいだデータ活用が可能に

保管したデータを利用する際は、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureのインタフェースを通じて、これまでと変わらない操作性でマルチクラウドストレージ(Dibertas)上のデータにアクセスできます。これにより「Amazon Web Services(AWS)の機能を使って加工したデータをMicrosoft Azure上で使う」といった、これまでにない活用法が実現します。

メリット②:高いレスポンス性能で幅広いシステムで利用可能

クラウド上のアプリケーションで利用するデータが離れた場所に保管されることで、レスポンスタイムの低下を気にされる方も多いでしょう。これについて三菱総研DCSは大手金融機関と共同で、Amazon EBSで稼働中のログ分析システムに対する性能検証を実施。その結果、分析処理のレスポンスタイムはAmazon EBS利用時とほぼ同等であることが証明されました。わずかな遅延も許されない基幹系などのシステムでなければ、問題なくビジネスで活用可能です。

メリット③:通信回線費用も含めたデータ運用コストの削減

クラウド上のデータが増えるにつれ保管・運用にかかるコストは高くなります。その点Dibertasは、GB当たりの単価が各クラウドサービスよりも安価に設定されており、データ運用のコスト削減が図れます。さらに低コスト・高信頼な「InfiniBox®」というストレージを基盤にしていることに加え、通信回線も含めて提供することで、クラウドへのアクセス時に発生するコストも含めたトータルコスト削減を図れるサービス設計となっています。

メリット④:重要なデータもセキュアに保管

Dibertasの「プレミアムプラン」は、ユーザー企業のデータセンターにストレージを設置。重要なデータはクラウド上ではなく、安全なデータセンター内のストレージに保管するため、安心して利用できます。また、ストレージ共用型(マルチテナント)の「スタンダードプラン」も、データは三菱総研DCSのデータセンター内にあるストレージに保管。監査時のセンター内立ち入りも可能です。

メリット⑤:クラウドロックイン解消、ビジネス継続性の向上

マルチクラウドストレージでデータをクラウドサービスと切り離して管理・運用することで、クラウドロックインが解消します。また、万一利用中のパブリッククラウドで障害が発生した際も、事前に用意した別のパブリッククラウドへ切り替えることでビジネスを継続することができます。

おわりに~セキュリティの不安からクラウド利用が進まない企業にもオススメ

いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した「マルチクラウドストレージ」は、

  • 頻繁にはアクセスしないものの、日々増え続ける容量の大きなデータがある

という、クラウド上に増え続けるデータの運用管理課題を抱える企業だけではなく、

  • 機密情報などセキュリティポリシー上、クラウドへのデータ保管に懸念がある
  • 監査で使用されるため国内のセキュアなデータセンターで保管したい

といった、セキュリティ上の懸念からこれまでクラウド活用に積極的になれなかった企業にも、最適なソリューションです。具体的には、工場の監視カメラで撮影した映像データや設計事務所のCADデータ、コンテンツ制作会社のアーカイブデータ、システム操作ログを映像データで保存している企業などが当てはまります。

クラウドロックインを回避し、コストを抑えつつ安全にビジネスの柔軟性・俊敏性を維持・強化する—「マルチクラウドストレージ」にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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