<導入事例>
多数の医療情報システムを整理し医療現場の実情に即したクラウド移行を実現

医療法人社団こころとからだの元氣プラザ 様

  • クラウド・マルチクラウド
  • 医療機関
  • コスト削減
写真左から 三菱総研DCS 小宮裕和 / 三谷光宏
医療法人社団こころとからだの元氣プラザ 佐藤 新 様 / 大西 孝幸 様 / 柳川 慶明 様 / 加藤 林 様

テーマ

クラウド基盤への移行

期間

約11ヶ月(基礎検討3ヶ月を含む)

概要

複雑なオンプレミス環境のシステム統合と移行
医療情報を安全に運用するクラウド基盤の実現

課題

多数の医療情報システムが個別に運用され移行が困難

提案

移行後の医療情報システム全体のグランドデザインを作成し、医療情報を安全に運用するクラウド基盤を提供

成果

システム統合によるコスト削減と運用の効率化を実現し、認証や権限管理の統一によりセキュリティ水準も向上

01 課題と提案
多数の医療情報システムが個別に運用され困難な移行

写真左から ICT企画室 担当係長 柳川 慶明 様 情報システム部 担当係長 加藤 林 様

大規模な移転が決定しており、OS(Windows7) のサポート切れも重なりシステムの移行は大きな課題でした。医療業界ではよくあることかもしれませんが、業務システムや各種医療機器はベンダーがバラバラです。その業務ごとに強いベンダーがおり、それぞれにシステムが必要であることから、オンプレミスのサーバーが多数存在していました。また、セキュリティを高めるためにネットワーク自体が分断されており、バックアップシステムも含めて機器が増大する傾向にあり大変非効率でした。院内のシステム構成を見ても、ざっと数えただけでも 40 以上のシステムがあり、OS の保守が切れる予定のシステム、 仕様書が残っていないシステムなどもあり、困難な移行作業が発生することが予想されました。

医療業界はまだまだ紙でやり取りをするような業務も残っており、クラウド化の推進は決して簡単ではない業界です。しかしながら、全面的にシステム構成を見直すことができる機会はめったにありません。そのため今回の移転のタイミングを活かし、必要以上に冗長となっているシステムは統合し、クラウドを最大限活用する方針としました。

02 導入準備
医療情報を安全に運用するクラウド基盤を実現するために

三菱総研DCSには、初めにシステム移行に関するコンサルティングを依頼し、最終的にクラウド基盤や移行作業を含めてすべてを依頼することとなりました。依託先の選定にあたっては、2つのポイントがありました。

ひとつ目はシステム全体のグランドデザインを作ることができる能力です。困難な移行作業が予想されるなか、ただ個々のシステムを移行するのではなく、 あるべき姿を一緒に考えることができる点を評価しました。実際に現地調査を我々と一緒になって実施してくれ、仕様書がないようなシステムについてもつぶさに調査してくれました。また、医療ベンダーのパッケージシステムは仮想サーバーでの稼働実績がないものが多いなか、クラウド環境への移行の調整も行ってくれました。三菱総研DCSのメンバーがマルチベンダーでのプロジェクト推進に慣れており、安心感をもって進めることができました。当院の通常業務にも極力支障が出ないように心がけて計画してくれ、当院としても大変動きやすかったです。

もうひとつのポイントは医療情報を安全に運用できるクラウド基盤かという点です。三菱総研DCSのFINEQloudは、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版(*1)」に沿ったセキュリティ及び運用基準を満たしたクラウドサービスであり、金融機関での実績が多い点も評価できました。最終的に、全体として最適になるように移行方式を提案し、再構築してくれたと評価しています。

  • 医療に関する患者情報を電子的に取り扱う情報システム・機器類を管理する組織体が準拠しなければならない最低限の管理要件、および推奨される管理要件について、さまざまな法令(e-文書法や個人情報保護法など)や厚生労働省通知、または関連ガイドラインなどを総括した観点から取りまとめたもの。

引用元:PwC Japan , https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/spa/vol01.html

03 導入
コストメリット以上の成果

移行が完了し、すべてオンプレミスでシステムを持つ場合に比べてコストを抑えることができました。クラウド基盤として採用したFINEQloudについては、一般のパブリッククラウドと比べても遜色のないコストパフォーマンスを出すことができています。システム要件に合わせてオプションメニューを取捨選択した提案をいただけたことで、コストと性能のバランスのよい運用ができています。

クラウド基盤の上でシステム連携を実現した成果はかなり大きく、Web活用などの将来構想にも繋がっています。端末台数1,000台から600台まで削減することができました。また、一体運営している一般財団法人東京顕微鏡医院も簡易専用水道水やキャナル検査(腸内細菌検査)のシステム基盤にも採用しています。システム部としては運用のルーチンワークやトラブルシューティングに追われることが減りました。システム利用者側から見ても、自席からあらゆるシステムを見られるようになったことは大きな進歩だと思います。それまでは部屋を移動しないと見られないシステムもあり、データ参照のために紙やUSBが使われていましたが、それもなくなり、業務効率が大きく改善されました。

クラウドサービスがもたらしたメリット:トータルコストダウン/事業継続性の強化/機器台数の削減/システム利用者の業務効率化/運用・保守からの解放/ガイドラインに準拠したセキュリティの担保

04 気づき
物理的な遮断が安全なわけではない

それまでシステム基盤や端末は物理的に隔離されていることが安全だと思っている部分がありましたが、その代わりUSBなどの外部記録媒体が多用されるうえ、認証がシステムごとに違うという不便さがありました。システム統合に伴い認証についても一元化され、権限管理や履歴管理もできるようになったことで、より高いセキュリティ基準を一斉に適用することができました。データの保持についてもクラウドに一元化することで、端末にデータを残さないようにしました。 そのため、セキュリティの質はむしろ向上したのではないかと思います。

さらに、昨今は大雨や水害が大きなニュースとなっていますが、病院も他人事ではありません。病院内のオンプレミスサーバーは、水没すれば重要なデータを失う可能性もあります。今回、堅牢なデータセンターにシステムやデータを移行できたことで、事業継続性としても安全性が高まったと思います。

システム基盤が整備されたことも受け、2020年1月にISMSも取得しました。

クラウド移行後のシステム構成 将来構想:受診者・企業/健保向けWebサービスの拡充、オンライン診療、医療ネット連携などの実現

05 成果
我々の立場にたったサポートに感謝

プロジェクトが終わってみて最も評価している点は、最後まで我々の立場に立って最適なシステムを一緒に考える姿勢を貫いていただいたことです。まだまだクラウドのセキュリティに対する漠然とした不安があり、当院のシステムメンバーも様々な業務で多忙ななか、一緒に資料をつくり、院内の説得にも奔走してくれました。レスポンスも早く、携わっていただいたメンバーが積極的に参画してくれたことに感謝します。

今回のプロジェクトで、クラウド化やシステム統合が決して容易ではない医療業界のなかでも、かなり進んだシステム構成を実現できたと思います。「データセンターへのシステム集約」や「1台のPCでの複数システム利用」などは他の業界では当たり前でも、医療業界では先駆的な取り組みです。当院が実現したモデルが、今後医療業界でクラウドを活用する有力なモデルになるのではないかと思います。

医療従事者・スタッフのシステム利便性が向上すれば、業務のスピードアップや正確性にもつながり、検査サービスの質にも貢献できるはずです。最終的には患者様やお客様にはよりより医療・予防サービスを提供できることにつながります。三菱総研DCSには、さらに医療業界への知見を深めていただき、今後もその一翼を担っていただけることを期待しています。

企業プロフィール

医療法人社団こころとからだの元氣プラザ 様

医療法人社団こころとからだの元氣プラザは、日本初の民間検査所として誕生した東京顕微鏡院の保健医療部門をルーツに、検診や人間ドックの分野で120年以上の歴史を持つ。予防医療を根幹として、検診後の外来診療からトラベルクリニックなど多岐にわたる医療サービスを展開。人の健康を考える場合に不可分である「こころ」と「からだ」の両面に着目し、単なる健康診断に留まらない質の高い健康づくりを目指す。

導入サービス

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