<導入事例>
AIが熟練技能を数値化、製造業の属人化問題を解決
中島合金株式会社 様
- AI
- UX・UI
- データ活用・アナリティクス
- 製造業
- データ利活用
- 内製化支援
- 業務効率化
- テーマ
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製造業向け 品質安定化AI生成プラットフォーム「Hepaisto」の導入により、技能の属人化にかかわる課題を解消
- 期間
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実証実験(2021年12月~) 2023年3月より正式導入
- 概要
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製造現場における品質安定に関する知見を、AIに学習させ、活用できるクラウドサービス「Hepaisto」。開発にあたり、実証実験に協力いただいた中島合金株式会社様は、その効果を高く評価しHepaistoを正式に導入、継続して活用されている。
- POINT 01
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Hepaistoを活用し独自の技術を数値化。技能継承を容易にし、品質の安定と生産性向上を実現
- POINT 02
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属人化の解消により、熟練技能者の有給取得率が向上
- POINT 03
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データによる技能継承の可能性を高め、若手の採用・教育や他業務への横展開にも波及
昔ながらの技能継承への危機感から、解決の糸口を探るべく実証実験に参加
中島様:
当社は、1920(大正9)年創業、間もなく105周年を迎える鋳造メーカーです。銅合金鋳物・アルミニウム合金鋳物、鋳造に高度な技術が必要とされる純銅鋳物を得意とし、その多くを機械加工し産業部品として出荷しています。鋳造技術を伝承しながら研究・開発および機械化を進め、独自の製法でお客様のニーズに合わせた高品質の製品作りをモットーとしています。
鋳造の世界では、一人前の職人になるのに10年かかるといわれ、人口減少により働き手不足が深刻化する日本で、昔ながらの技能継承では生き残れないのでは? と危機感を抱いています。
今後は外国人材の手も借りることになる、職人にまで育っていなくても業務に支障がないよう、ある程度複雑な部分を機械がサポートしてくれる仕組みがほしい…と長年悩み続けていました。
特に、当社が得意とする純銅鋳造の工程では、添加剤の投入量の判断が属人化しており、安定的な事業継続にも不安要素を抱えていました。そんなときに、三菱総研DCS(以下、DCS)から実証実験の提案を受け、解決の糸口が見つけられたらと思い、実験に協力を申し出たのです。
当初は、熟練者の技能を数値化できるのか懐疑的でしたが、数々の実験を経た製品を試験的に導入したところ、1)技能継承、2)属人化の解消と熟練者の有給取得促進、3)横展開の可能性が確認できたことから、Hepaistoの正式導入を決めました。
熟練者の判断よりも早く適正値を算出。使いやすく頼れる相棒に
生井様:
Hepaistoで最も高く評価しているのは、適正値を導き出すスピードと正確性です。実は、実験当初はとても時間のかかる仕組みで、「これは使えない」と思いました。製造業は時間が勝負。鋳造のみならず機械加工までの工程はまさに分刻みのため、数分のロスも許されません。「AIの判断が秒単位にならないと難しい」とかなり厳しくお話をしたところ、DCSは驚くほどの熱心さと集中力でこの難問に挑み、今では条件を入力すれば瞬時に添加剤の投入量が導き出されるようになりました。数値も根拠とともに提示されるので、正確さも担保されています。自分の判断よりも早く、迷うときには助けになり、現在はとても心強い相棒として活用しています。
昆野様:
「AIとはなんぞや?」という状態からスタートしたので、最初は「学習のさせ方」がまったく理解できず、時間も手間もかかりましたが、DCSに使いづらさを正直に伝えることでどんどん改善されました。結果として、ITやAIなどにそれほど詳しくない我々にとっても、違和感のない言葉や慣習に寄せた仕様になりました。おかげで操作性も分かりやすく使い勝手も快適で、今は誰もが使えるツールになっています。
中島様:
かつてあるソフトウェア会社に入ってもらったときは、『教えて、教えて』の連続で対応が大変でした。しかし、DCSは現場を理解しようと鋳造の世界について自ら勉強、毎回しっかり準備をして現場に来られて、製造業向けにAIサービスを開発したいという本気度が伝わってきましたね。
属人化の解消で見えた、長年の経営課題解決の道筋
昆野様:
現場での最大の効果は、属人化の解消です。今までは、難易度の高い純銅鋳造の工程は、生井課長のような工程を理解する熟練技能者に大きな負担がかかっていました。純銅業務があれば生井課長は休めませんし、休むとなれば全工程に影響を及ぼします。Hepaistoの導入で添加剤量の「さじ加減」が分かるようになり、私がその作業を代われるようになりました。さらにもう一人、この業務ができる社員を育成中です。
生井様:
おかげさまで有給休暇がとりやすくなりました(笑)。代わってもらえる人がいることで、ほかの業務に意識を向ける時間が増えたことも大きいです。今までは突発的なことがあっても、純銅鋳造中は一切対応できませんでした。純銅鋳造を代行してもらえることで、他業務への対応力が高まり、仕事全体の効率化や生産性向上にも寄与していると感じます。添加剤の投入量の決定は、Hepaistoを使ったとしても一朝一夕でできるものではありませんが、今までは教えることが難しかった「感覚」の部分を、Hepaistoが適正値として出してくれます。そこから「この数値がなぜ正しいのか」を検証するアプローチなら教えやすいし、学ぶ方も受け止めやすくなると思います。
中島様:
私が高く評価しているのは、経験則や知識といった原理原則を一切必要とせずに属人化した技能を数値化できる点です。純銅鋳造は特殊な仕事ですが、Hepaistoにサポートしてもらえれば、鋳造を一から勉強した人間でなくても実践できるようになります。特別な知識がなくても現場作業ができ、属人化が解消され、ワークライフバランスも充実する。Hepaistoの導入メリットは、人材の採用面でも大きいと期待しています。
日本のものづくり産業の未来を見据え、機械と人が適切に役割分担できる環境を
中島様:
会社の売上の2~3割を占める業務が属人化しているのは、大変怖いことです。Hepaistoの導入は、リスクヘッジになるだけでなく、品質の安定化や生産性向上が期待できます。AIのサポートがあれば、技術的なノウハウを持たない人でもできる作業があることを確認しました。社内でも横展開できるところには、Hepaistoを活用するつもりです。数字で制御できる部分をツールに任せられれば、人はもっとクリエイティブな仕事に集中できます。機械と人が適切に役割を分担して生産性を高めなければ、この業界自体の将来も危うくなります。ものづくりは日本の産業の根幹ですから、当社と同様の課題を持つ鋳造業界、製造業界にもHepaistoが普及していくことを願っています。
企業プロフィール
中島合金株式会社 様
中島合金株式会社様
2020年に創業100年を迎えた、茨城県つくば市の非鉄金属砂型鋳物専業メーカー。銅合金鋳物・アルミニウム合金鋳物から鋳造に高度な技術が必要とされる純銅鋳物まで手掛ける。業界最多の材料を取り扱い、多種材料を同一工場で製造する独自技術により、同ラインで違う金属の製造が可能。また、優れた機械加工部門との連携で、品質や価格に合わせてお客様に最適な材質と製法を迅速に提案。古い技術を伝承しつつ機械化を進めることで研究や生産を100年積み重ねた実績は、他社ではまねのできない独自製法の確立となり、お客様のニーズに合わせた品質の高い製品作りにつながっている。
https://nakacast.com/
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- 「Hepaisto」は、三菱総研DCSの登録商標です。
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