人財育成~ビジネス現場でのデータ活用まで伴走型の支援
データサイエンティスト育成サービスの実施について、戸田建設様にインタビューを行い
プロジェクトの背景や三菱総研DCSの特徴、今後について話を伺った。
戸田建設株式会社
執行役員 総合企画部長
嶋 義郎様
戸田建設株式会社
総合企画部 企画1課長兼データサイエンス課長
津雲 健一様
三菱総研DCS株式会社
デジタルイノベーション事業部 部長
大原 佳子
※掲載されている情報は、2021年3月時点のものです
建設会社が持つ多様なデータを社会に活かしたい
嶋様
創⽴140周年を迎える⼾⽥建設は、創業時より病院や学校など、公共性の強い施設を多く⼿がけてきました。実直で堅実な社⾵は、反⾯、未来志向や挑戦意欲の弱さも内包します。世界中が転換期にある今、持続的成長を実現していくためには、強みを活かした新たな挑戦が必要です。お客様の期待を超えるソリューション提案型の会社になるために、検討すべきテーマの1つに「データの有効活⽤」がありました。建設会社には様々な分野のお客様情報やその先にあるマーケット情報、建設に関するあらゆる情報が集まります。こうした情報を必要な形で⾒える化し活用することは、我々の業務に有効なだけではなく、世の中に新たな価値を⽣み出す可能性を秘めています。これを実現するため、データサイエンティストの育成と分析の内製化、データを活⽤した新サービスの開発をミッションとした取り組みに着手しました。
人財育成~ビジネス現場でのデータ活用まで伴走型の支援
嶋様
三菱総研DCSに依頼する少し前のお話になりますが、社内からデータに強い人財を選抜し、データ分析について研修を受けることにしました。しかしながら、分析理論は理解したものの、その後のビジネス現場でのデータ活用にうまく進めませんでした。その反省を踏まえ、ビジネスでの活用を前提とした研修を⾏う会社をリサーチする中で、三菱総研DCSに出会いました。実践で活かすためにも、データ分析の世界を深く学ぶだけでなく、ビジネス上の課題や問題に対してのデータの集め⽅や分析⼿法など、実務に直結する研修やアドバイスが得られるかどうかが重要でした。三菱総研DCSには研修だけでなく、3ヵ年のロードマップを提案してもらい、人財育成、分析環境、運用体制等、内製化を進める上で必要な支援をしてもらえると感じ、依頼を決めました。
データサイエンス課を立上げ、「研修で理解した」から「業務で使える」へ
津雲様
研修の前に受講者の上席(部⻑クラス)にも参加してもらい、研修の狙いと今後、データ活用を推進していくことを伝えるために、プレセミナーを開催していただきました。このことによって、データを活用する背景や目的を現場レベルでも理解してもらい、データ活用に対する意識の醸成につながったと思います。研修では学習目標に合わせたカリキュラムを作成いただき、データの抜粋やグラフ化、分かりやすいデータ整理など、実践を交えた研修で、受講者はデータ分析とはどのようなものかイメージしやすかったと思います。受講者はデータ分析が「難しい数式を使う、自分の業務には縁遠いもの」というイメージを持っていましたが、「自身の業務課題を解決するための有用な手段になりえる」という手応えを得られたのではないでしょうか。
嶋様
研修後、受講者がそれぞれの部署に戻り各自でデータ分析を担ってもらうのと同時に、実践を一歩進んで促進していくには専⾨部署の存在が必要でした。もともと構想はありましたが、「データサイエンス課」を標榜するからには、最低限の実務スキルがないと話になりません。3ヵ年のロードマップをベースに、三菱総研DCSの⽀援を受けながら、課としてデータ活用を推進していくことを決定しました。
津雲様
データを分析し活⽤していくという動きを全社的に広げていくために「データサイエンス課」を発⾜しましたが、「研修で理解した」と「業務で使える」ことは別のハードルがあります。三菱総研DCSには将来の内製化を前提に、アドバイザーとしてその後も継続した支援をしてもらっています。アドバイザーは週1~2回の進捗会議に参加いただき、分析工程の全体設計や分析手法の選択等、主に分析の上流工程についてご指摘をいただき、アウトプットまでの道筋を支援してもらっています。
社内に使えるデータがあることを示し、経営判断に資するデータ活用へ
嶋様
既存の社内データを活用して分析することができること、すなわち「整っていないデータでも分析できる」ことを⽰したことで、各部署でもやってみようという機運が⽣まれ、各部署からの分析依頼が増えています。また、戸田建設は全国に支店がありますので、今後は、各支店にもデータ活用のキーパーソンを配置することを検討しております。地域には地域特有の情報があり、現場の最前線にいる社員が、最も情報・データを有効活用できるはずです。そして、データに強い人財を増やすとともに、データサイエンス課をはじめとする分析者のスキル向上も⽬指したいと思っています。データ分析は経営者が経営判断をするための⼿段のひとつであり、正しい経営の意思決定に役⽴つ有効なデータをスピーディに提⽰することが我々の使命です。我々はまだ、データ分析のほんの⼊⼝にいて、これから多くの課題に取り組んでいくことになります。⽣産性の高い仕事となるよう、効率的かつ最適なデータ分析の⼿法、⼿段を指導していただけることを、これからも三菱総研DCSに期待しています。
津雲様
ロードマップに基づく三菱総研DCSの⽀援は継続するほどに、当社の実務をより深く理解した⽀援になることを実感しており、今後とも当社のステータスや課題に合わせた支援を期待しております。
テーマ | データ分析人材育成支援及びデータ活用支援 |
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研修の受講者数 | 18名 (2019年:9名 / 2020年:9名) |
期間 | ・2019年度研修 9月~11月内の6日間+プレセミナー(半日) ・データ活用支援 2019年3月~継続中 ・2020年度研修 11月~12月内の6日間 |
概要 | ・データ分析の内製化をゴールとしたロードマップの提案 ・学習目標に合わせたデータ分析研修 ・データ活用支援※アドバイザーとして参画 |
1881年創業、140年の歴史と伝統をもつ建設会社。戦前から官公庁や大学、医療・福祉関連施設を多数手がける建築業界の名門であり、確かな品質のものづくりを通じて、安心・安全・快適な社会づくりに貢献している。