OutSystemsとは?
~アプリ開発内製化によりDXを推進するローコード開発プラットフォーム 活用事例~

2023.01.03

  • ローコード

アプリやシステム開発の内製化によりDXを推進する、おすすめのローコード開発プラットフォームOutSystems。ローコード開発のメリットとデメリット、リスク回避のためのポイントとツールの選び方、そして活用事例までをわかりやすく解説。「2025年の崖」を乗り越えるヒントをお届けします。

近年、業務アプリケーションを事業部門社員などのエンドユーザー自身が作成する「ローコード開発(ノーコード開発)」への注目が高まっています。そこで今回は、ローコード開発が注目される理由と推進メリットから、ローコード開発プラットフォームの選び方、当社おすすめの「OutSystems」の活用事例まで、大手企業で推進する際に気をつけるべきポイントを踏まえて、わかりやすく解説します。

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ローコード開発とは?注目される理由とメリット

ローコード開発とは、高度なプログラミング言語による開発を必要とせず、誰でも直感的にアプリケーションの開発が行える仕組みのことを指します。近年、このローコード開発(あるいはノーコード開発)というキーワードが、国内でも盛んに聞かれるようになりました。

なぜ今、ローコード・ノーコード開発が高い注目を浴びているのでしょうか?それは、日本企業や IT 業界が直面している課題の解消、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる可能性への期待が高いからなのです。

経済産業省が「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」で指摘したレガシーな基幹システムの更新および、それに伴う業務DX化の必要性は、皆さんもすでにご存じの通りです。その中で日本のIT人材は、実にその約7割がベンダー側に所属しており、さらにユーザー企業のIT予算の約8割は、既存システムの保守に充てられていると指摘されています。

各企業では生産性と事業競争力向上のためにDXを推進する一方で、加速するビジネススピードへの対応を目的として、システムやアプリケーションを内製化に切り替える動きが出始めています。

現状ではその多くはまだ、オンプレミスのITインフラをクラウド化する「クラウドリフト」あるいは「クラウドシフト」の段階ですが、アプリケーション開発の内製化への取り組みも、着実に本格化し始めています。

IT部門のリソースは会社全体のものであり、全社や部署にとっての優先順位に基づいて活動しています。そのためユーザー部門のリクエストに、すぐには応えられません。そこでユーザー部門が「自分たちで開発できるのであれば、IT部門に頼まずに自分たちで行いたい」という欲求を感じるのは、ごく自然なことと言えるでしょう。

さらに経営視点では、社内のデジタル人材不足の解消、ビジネスの俊敏性(アジリティ)の向上、さらにはCX(カスタマーエクスペリエンス)の創出といったメリットがあります。

つまり、業務の現場で必要とされるアプリケーションを、高度なプログラミング言語を使わずとも迅速かつ容易に作成することが求められています。これを実現するのが、ローコード・ノーコード開発です。

ローコード・ノーコード開発の主なメリット

エンドユーザー部門

  • 自分たちの要求、要件に沿った開発ができる
  • 自分たちで開発することで期間が短縮できる

IT部門

  • 個別のアプリ開発から解放され、全体最適の活動に注力できる

経営層

  • システム開発の内製化による外注コスト削減、社内へのノウハウ蓄積
  • 「市民開発」の実現による社内デジタル人材不足の解消
  • 業務に必要な開発が迅速化することでビジネスの俊敏性(アジリティ)が高まる
  • タイムリーなアプリ開発・提供により全社でのCX向上とビジネス競争力の強化につながる

ローコード開発に潜むリスクとデメリットとは?

このように推進の機運が高まるローコード・ノーコード開発ですが、リスクやデメリットはないのでしょうか。

多く挙がる声として、「ローコード開発、ノーコード開発というワードからは、エンタープライズの企業レベルのソフトウェア品質や管理をイメージしづらい」というものがあります。

ローコード・ノーコード開発の推進は、社内にエンドユーザーコンピューティング体験を提供し、「市民開発」を可能にするというメリットが得られます。その一方で、それによって開発されたアプリケーションが増えると企業全体としての統制やガバナンスの確保が難しくなり、シャドーITや野良アプリをもたらしかねないのでは?という懸念があります。

従来は、エンドユーザー部門がビジネスや業務の推進にあたって必要とするアプリケーションは、IT部門にリクエストして開発、あるいは調達されていました。ところがローコード・ノーコード開発が可能になると、社内にIT部門が把握していないアプリケーションが増え、品質のばらつきやブラックボックス化、品質保証や障害発生時の対応におけるリスクが高まるのは、想像に難くないでしょう。

ノーコード・ローコード開発における主なリスクとデメリット

  • 開発する人によってアプリの品質にばらつきがある
  • 開発した人でないとアプリの中身が分からない(ブラックボックス化)
  • 検証や品質保証が不明確で、ガバナンス・セキュリティが保てない、万一の障害発生時の対応が難しい

ローコード開発基盤の選び方

では、こうしたメリット・デメリットを踏まえて、企業はローコード開発をどのように推進すればよいのでしょうか。

第一に言えることは、単独の機能を保有するようなローコード開発ツールを導入するのではなく、開発ライフサイクル全体をサポートするローコード開発プラットフォームを全社共通基盤として導入することです。これは前述のガバナンス、セキュリティへの対策として、もっとも重要なポイントです。

現在、国内外を問わず数多くのローコード開発プラットフォーム製品が提供されており、今後も続々と増えると予想されます。では、検討・選定する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

以下、4つのポイントを解説します。

①搭載機能

ローコード開発では、プラットフォームの機能を用いることでコードを書かずに開発を行う「ノーコード」エリアと、ある程度自分でコードを書く必要がある「ローコード」エリアとに分かれます。この「ノーコード」エリアが多いプラットフォームほど、開発のしやすさと速度は上がります。しかし、自社で必要としない機能ばかりノーコード化されていても意味がありません。そのため、まずは自社システムで必要な機能の洗い出しを実施し、その上で必要な機能が実装されているプラットフォームを選ぶようにしましょう。

②外部連携機能と拡張性

既存システムとの連携のしやすさと、新機能の追加のしやすさ(拡張性)は、特にローコード開発にとって重要なポイントです。プラットフォーム選定時には、「外部連携機能」「機能拡張の柔軟性」を確認しましょう。

③セキュリティ対策機能

システムの活用においてセキュリティは無視できない要素です。プラットフォームが持つセキュリティ機能が、自社のセキュリティポリシーと適合するかを確認しましょう。

④導入前後のサポートの充実度

上記のプラットフォーム自体の機能性はもちろん、提供する企業のサポートもとても重要です。しっかりとしたサポート体制があり、導入前コンサルだけでなく導入後の定着化支援も含め、自社を成功に導いてくれるパートナーであるかどうか、しっかり見極めましょう。

おすすめのローコード開発プラットフォーム「OutSystems」

これらの観点を踏まえ、当社がおすすめするローコード開発プラットフォームが、OutSystems社が提供する「OutSystems」です。

同社は2001年からローコード市場を牽引してきました。現在、同社はモダンアプリケーションプラットフォーム市場のリーダーとして認知され、世界各地にオフィスを構えています。コミュニティメンバーは435,000人以上、パートナー企業は350社にのぼり、87か国、22の業種で数千社もの顧客企業を抱えています。2017年には、日本法人であるOutSystemsジャパン株式会社も設立されています。

OutSystemsの主な特長・メリット

  • UI/ロジック/データモデルを作成可能なGUIによるビジュアル開発環境
  • 標準機能として提供される豊富なUIの表現力と拡張性
  • モバイルアプリ開発のサポート
  • オープンソースライブラリForgeコンポーネントを利用した機能拡張/開発効率化
  • 作業効率/品質向上を考慮したアーキテクチャ
  • DevOps関連機能をオールインワンで提供

などがあり、小さなチームでも短期かつ高効率な開発の実現が可能です。

さらに、OutSystemsの最大の優位点は、開発したアプリケーションを運用したり、改善や廃止したりする「ライフサイクル管理」までをカバーするプラットフォームである点です。他のローコード開発プラットフォームでは、開発した各種アプリのバージョン管理や生成後の管理については別の仕組みとなっているものが多く、このライフサイクル管理までを提供するプラットフォームは実は多くありません。

OutSystemsの主な特長・メリット

OutSystemsはエンドユーザーが開発したアプリケーションの実際の利用状況分析やリアルタイムな不具合の監視、ステージング(テスト)環境 の用意や依存性の分析、バージョン管理など、運用フェーズ以降に必要となる機能も備えています。これにより、「アプリケーションをプロトタイプで作成し、さまざまなユーザーの利用状況やフィードバックを取り入れながらアジャイルでさらなる開発を進める」といった使い方が可能です。

また、OutSystemsはローコードの次なる段階として「マルチエクスペリエンス プラットフォーム」というコンセプトを掲げています。これは単に容易な開発環境を提供するだけでなく、ユーザーの声(フィードバック)を迅速に取り入れることで、企業としてのガバナンスを効かせながら継続的に利用されるアプリケーション開発環境の実現を目指していくものです。

  • <コラム>OutSystemsは「ノーコード」ではなく「ローコード」開発プラットフォーム
    ここまで「高い技術的バックグラウンドがない市民開発者でも開発ができる」とノーコード/ローコード開発をまとめて解説して来ましたが、今回おすすめするOutSystemsは「開発に関する挑戦の敷居を下げる」もしくは「ある程度の技術的バックグラウンドをお持ちの方の開発を加速させる」ローコード開発プラットフォームです。

ローコード開発プラットフォームOutSystems 活用事例

それでは、OutSystemsが実際に日本企業でどのように活用されているのか、事例を見ていきましょう。

事例① DX推進のためのプロトタイプ開発・PoCの実施

1つ目の事例は、DXによる業務プロセス変革の実用性を、短期間で繰り返し検証評価したケースです。生産性を高め、新たな価値の創出を目指すDXには、早期でのトライアンドエラーが欠かせません。

課題

  • 費用対効果が不明でDXをなかなか実行に移せない
  • スモールスタートでPoC(実証実験)を実施し、仮説を検証したい

こうした課題に対し、OutSystemsを活用することで以下の効果がもたらされます。

効果

  • IT部門の負荷を気にせず事業部門でプロトタイプを開発、PoCの早期実施が可能に
  • 仮説検証型で効果を測定し、現場の声を反映しながらDXを次のフェーズへと推進可能に

OutSystemsであれば社内のIT部門の負荷を気にすることなくスモールスタートでの現場主導のサービス開発とPoCの実施、効果測定を早期に実現可能。さらには実際に利用した現場ユーザーの声を受けて機能を充実させることで、仮説にすぎなかった効果をより確かなものとして全社展開することができ、DXの推進が加速します。

DX推進のためのプロトタイプ開発・PoCの実施

事例② ホストシステム・ERPのフロントエンド開発の短期化

2つ目の事例は、OutSystemsを用いたホストシステム・ERPフロントエンド開発の早期化です。エンドユーザー部門のリクエストに応えるべくフロントエンドの開発を行おうとすると、以下のような課題にぶつかります。

課題

  • IT部門との要件定義からスケジュール調整だけでも長い期間がかかる
  • ERPのアドオン機能を使用すると多額のコストが発生する

このERPへのカスタマイズやアドオン部分の開発をOutSystemsで内製化することで、以下の効果が得られます。

効果

  • ユーザー部門自ら短納期で開発、外部調達コストを抑制しながら保守性も向上
  • UI部分をラップすることで、ユーザーに負担をかけないERPパッケージの操作性向上が実現

このようにOutSystemsはタイムリーでアジャイル、さらに企業のガバナンスとライフサイクルに則った開発をユーザー自身が簡単、安全に行えることで、ホストシステムやERPなどこれまで改善が難しかった分野でも、利用者視点でのカスタマイズと、高いユーザビリティの実現にも効果を発揮します。また、ホストマイグレーションのステップとして、ユーザーへの影響を抑えた移行ツールとしても利用可能です。

ホストシステム・ERPのフロントエンド開発の短期化

事例③ 社内開発の共通基盤を確立、内製化を推進

3つ目の事例は、社内開発の共通基盤としてOutSystemsを導入し、内製化を推進した事例です。企業における内製化の推進には、社内の人材育成の時間やコスト、さらには開発のための共通基盤およびフローやルールの整備などが、壁として立ちはだかります。

課題

  • 社内の技術力を高めて内製化を推進したいが、プログラム開発スキル習得のための人材教育などに相応の時間がかかる
  • 標準開発基盤がなくシステムごとにベンダー側の提案に応じて技術を利用しており、複数の言語・技術が混在

これらの課題に対し、社内開発の共通基盤としてOutSystemsを採用することで以下のような効果がもたらされます。

効果

  • 標準化の推進に必要な高スキル人財育成の時間短縮
  • 業務標準化により、システムを自社でコントロール可能な状態を実現

OutSystemsは高いプログラムの知識を必要とせず、現場の声を聞きながら柔軟で素早い開発、フィードバックを活かしたその後の機能改善が行えることに加えて、開発業務の共通プラットフォームとして開発の属人化を防ぎながら内製化を加速する効果をもたらします。

社内開発の共通基盤を確立、内製化を推進

まとめ~システム開発の内製化とDX推進を実現する、三菱総研DCSの支援サービス

いかがでしょうか。ローコード開発の必要性と、その実現のためのプラットフォームとしてのOutSystemsの活用メリットがお分かりいただけたでしょうか。

三菱総研DCSでは、OutSystemsの単なるライセンス提供に留まらず、システム開発の内製化とDXを推進したいお客様に、段階に合わせた支援サービスを提供しています。

そして、OutSystemsを標準プラットフォームとしてシステム開発の内製化を目指すお客様には、「導入」「拡大」「自走」の3つのフェーズに分けた支援を提供します。

3つのフェーズに区切り、システム開発の内製化をトータルでご支援

導入期では、DCS開発チームが全体的なプロジェクト計画の立案と、標準化ルールなどの策定をサポートします。

続く拡大期では、DCSがお客様開発チームの一員として、案件遂行を実施。他ベンダーとの混成チーム編成にも対応可能です。この中で、OJT形式による社員へのスキルトランスファーも並行して実施します。

そして自走期では、拡大期の案件を複数実施することでスキルトランスファーをさらに進め、社内開発チームだけで開発、運用までを完結できる状態を最終的なゴールとして伴走型の支援を提供します。

DXは、単なる業務のデジタル化(デジタイゼーション、デジタライゼーション)とは違います。DXは決して一足飛びには実現せず、また業務改善の延長では限界があり、これまでとは異なるベクトルの視点が求められます。

DX推進のための「現実解」として、OutSystemsを用いたシステム開発内製化を検討したい方は、ぜひお気軽に三菱総研DCSまで、お問い合わせください。

  • OutSystemsは、OutSystemsの登録商標です。

【ビデオ】OutSystemsアプリ開発デモ

OutSystemsを用いた「顧客情報管理アプリ」の作成デモビデオをご覧ください。

画面レイアウトを含めゼロからの構築で、下記を実施します。

  • 顧客情報管理DB構築
  • 顧客情報管理一覧画面、顧客情報編集画面の構築
  • 構築後の全体疎通確認

ぜひこの機会に、OutSystemsの高速開発をご体感ください。



ビデオを見る(約6分)


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