コラム
「外国人雇用実態調査」
「マイナ保険証・資格確認書への完全移行について」等、
人事労務関連レポート2025年12月号
2025年12月
令和6年の外国人雇用実態調査の結果、マイナ保険証への完全移行について、育児休業への意識調査などについて解説する。
◆トピックス
- 外国人雇用実態調査 ~外国人雇用の状況~
- 協会けんぽでの電子申請開始
- マイナ保険証・資格確認書への完全移行について
- 就業規則変更 意見聴取せず送検
- 傷病手当金 精神疾患7万件超で1万件以上の増加 職場対応が焦点に
- 若年層の高い育児への意識と育児休業の不安 職場環境に課題
- 令和8年4月より被扶養者認定に係る「年間収入」の取り扱いが変わります
外国人雇用実態調査 ~外国人雇用の状況~
厚生労働省が8月29日に発表した「令和6年外国人雇用実態調査」の結果が公表されました。
この調査は、外国人労働者を雇用する事業所における外国人労働者の雇用形態、賃金等の雇用管理の状況及び当該事業所の外国人労働者の状況、入職経路、生活状況等についてその実態等を産業別、在留資格別等に明らかにすることを目的として、令和5年から実施されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61317.html
調査結果の主なポイント
- 外国人労働者数は、全体的には、前年から約22万人増加し、増加傾向
- 在留資格別にみると専門・技術系への比重が高く、実習・身分系の比率は縮小傾向
- 産業別にみると「製造業」「サービス業」「卸売業、小売業」「建設業」の順に比重が高く、上位4産業で全体の約3分の2を占めている
- 賃金や労働時間では、資格区分で賃金格差があり、「実習・特定技能」は相対的に低く、実労働時間も長い傾向。
- 採用動機は「人手不足」が最も多く、課題は言語の壁や在留資格申請の手続きの負担
- 出身国は「ベトナム」が最も多い
- 入職経路は、入職前居住地が日本の場合「友人、知人」、日本以外の場合は「出身国・地域の紹介会社・個人」が最も多い
- 就労トラブルは8割以上が「なし」と回答だが、「あり」では「送出し機関を含めて紹介会社の費用が高かった」が最も多い
特定技能人材の活用拡大に伴う待遇改善
出入国在留管理庁は、特定技能外国人受入れに関する運用要領を一部改正し、特定技能1号における通算在留期間の取扱いを変更しました。産前産後休業や育児休業、病気・怪我(労働災害を含む)による休業期間は通算在留期間に含めないとしていますが、希望する場合は、在留期間満了のおおむね3カ月前に疎明資料を添付のうえ申請することが必要となります。特定技能2号評価試験の不合格者の在留期間延長も開始され、合格基準点の8割以上を取得するなどの要件を満たした場合、通算在留期間を6年に伸ばすとしました。
※特定技能とは、国内で人材確保が困難な特定の産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるために令和元年4月に創設された在留資格です。
この制度は、一定の専門性や技能、日本語能力を持つ外国人が対象で、1号と2号の2種類があります。
※特定技能1号と2号の主な違い
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 最長5年(更新あり) | 上限なし(更新あり、実質無期限) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 配偶者と子が可能 |
| 日本語能力 | 試験等で確認(技能実習2号修了者は免除) | 一部の分野で必要(JLPT N3以上など) |
| 対象分野 | 12分野(旧14分野) | 11分野(介護分野は対象外) |
労働基準法令違反も
厚生労働省は9月26日、全国の労働局や労働基準監督署が令和6年に外国人技能実習生または特定技能外国人を使用する事業場に対して行い、監督指導や送検等の状況をとりまとめ、公表しました。監督指導した事業場のうち、特定技能外国人については76.4%(初公表)、技能実習生については73.2%で労働基準関係法令違反が認められました。各項目で最も高いものは、以下の通りです。
- 違反事項:「安全基準」(機械等を安全に使用するための措置を講じていない)
- 違反率(監督指導実施事業場に占める違反事業場の割合):「建設」
- 技能実習生・特定技能外国人からの申告内容:「賃金・割増賃金の不払い」
- 重大・悪質な同法令違反の事案として送検されたもの:「安全基準」
外国人人材の活用が必須となる中、同様の違反がないよう見直しや改善を行い、適正な労働環境の整備が求められます。
協会けんぽでの電子申請開始
今まで紙で行われていた、傷病手当金等の協会けんぽの各種申請について、令和8年1月から電子申請サービスの開始が予定されています。被保険者、被扶養者(一部申請に限る)のマイナンバーカード所持者と、社会保険労務士が利用可能です。※事業主は不可
電子申請対象の申請書
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/electronic_application/covered_applications/電子申請の利用イメージ
事前に、マイナンバーカードの取得と「マイナポータルアプリ」のインストールが必要です。
① 利用準備
- 利用端末(スマートフォン/タブレット端末/パソコン)を準備。
- 加入者の方は、マイナンバーカードによる認証を行います。
② 申請する
- 協会けんぽホームページにある「電子申請サービス」から手続きを進めます。
- 申請情報の入力、必要な書類のアップロードを行い、申請を完了してください。
申請に必要な添付書類等はカメラ等で撮影した画像データをアップロードいただく形式となります。
あらかじめ準備しておきましょう。
※傷病手当金支給申請書の医師の証明書なども写真に撮って画像データにてアップロードいただく形式となります。申請手続きの詳細については確定次第、随時協会けんぽのHPにアップされます。
③ 結果等の確認
- 審査結果は、書面で送付します。届いたら内容をご確認ください。
- 審査状況は、随時、電子申請サービス内で確認することが可能です。
- 申請内容に不備があった場合は、郵送でお知らせするとともに、電子申請サービス内で申請データ等を返却します。
(一部の申請では、郵送によるお知らせのみです。)
なお、再申請する場合などは、返却した申請データを利用して再申請することが可能です。
マイナ保険証・資格確認書への完全移行について
かねてよりお知らせしておりました通り、マイナ保険証・資格確認書へ完全移行となり、従来の健康保険証は令和7年12月2日以降使用できなくなりますので、ご注意ください。今後医療機関を受診される際は、マイナ保険証または資格確認書をご利用いただくことが基本となります。
マイナ保険証を利用することで、個人同意のもと医師等が過去の診療情報、お薬情報や特定健診の結果を正確に確認できるようになるため、身体の状態や他の病気を推測して治療に役立てることが可能となり、お薬の飲み合わせや分量を調整してもらうことも可能となります。マイナンバーカードの申請方法や、マイナ保険証の利用方法は、以下をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40391.html
就業規則変更 意見聴取せず送検
茨城・土浦労働基準監督署は、事業場が就業規則を変更する際に、過半数代表者を適正に選出せず、意見を聴取しなかったとして、労働基準法第90条(作成の手続)違反の疑いで水戸地検土浦支部に書類送検しました。
概要
就業規則の変更手続きが行われていた令和6年3~4月ごろ、事業場側が一方的に指名した者を過半数代表者として意見聴取を実施し、労働基準監督署へ就業規則の変更を届け出ていました。しかし過半数代表者が民主的な方法で選出されていない者であったことから、土浦労働基準監督署は「労働者の過半数の代表者を適正に選出せず意見聴取が適正に行われていない」と判断し、就業規則の変更手続きを無効にしました。さらに同時期に締結された36協定(時間外・休日労働に関する協定)についても、同様の方法で過半数代表者が選出されていたため、無効とされました。
労働基準法第90条は、使用者は就業規則の作成または変更を行う際、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めています。今回の事案では、事業場が民主的な手続きを取らずに、使用者側が一方的に過半数代表者を指名して意見聴取を実施した点が問題視されました。
近年、労働基準監督署の臨検調査でも、この過半数代表者の適正な選出手続きが強く求められるようになっています。適正な選出手続きを踏まないと、就業規則の変更手続や36協定が無効と判断されるリスクがあるため注意が必要です。過半数代表者の選出方法は最低限、労働基準法施行規則に基づき、次の要件を満たす必要があります。
- 事業場の全従業員の過半数を代表していること
- 選出する目的を明らかにした上で、すべての労働者が参加した民主的な手続きで選出されていること(会社の指名など、使用者の意向によって選ばれた場合は、従業員代表とは認められません)
- 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと
傷病手当金 精神疾患7万件超で1万件以上の増加 職場対応が焦点に
全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表した令和6年度の現金給付状況によると、精神疾患を理由とする傷病手当金の支給件数は、前年度比1万513件(17.6%)増の7万339件となり7万件を超えました。これは全支給件数の約4割(39.1%)を占め、金額ベースでも43.7%となっています。支給総額も341.9億円(前年比44.8億円増)に達し、コロナ禍の令和4年度を上回る水準となっています。
性別では、3年度以降、女性の支給件数が男性を上回っており、女性の金額ベースで占める割合は49.2%と、全体の半数に迫っています。傷病別の件数を都道府県別にみると、全都道府県で精神疾患がトップとなりました。精神疾患が占める割合は、東京が51.1%、愛知が41.9%、大阪が45.3%、福岡が38.1%と、地方に比べて都市部の割合が高くなる傾向にあります。業種別の被保険者千人当たりの支給件数は、運輸・郵便が9.96件で最多、医療・福祉が9.12件と続き、令和5年度に15.19件で最多だった公務は2.19件で最も少ない業種となりました。
こうした状況を踏まえると、企業には、職場のメンタルヘルス対策の再点検や、早期発見・早期フォローの仕組みづくりが一層求められます。また、復職支援や働き方の柔軟性確保など、社員の健康維持と就労継続を両立させる取り組みの強化が重要となっています。
若年層の高い育児への意識と育児休業の不安 職場環境に課題
労働政策研究・研修機構(JILPT)が発表した「仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」によると、20代から30代の男女の多くが、将来の子育てと仕事の両立に不安を感じ、特に男性は「職場で育児休業を取りにくい」との回答が目立ち、制度は整っていても実際には利用しづらい現状が浮き彫りになりました。一方、女性は「出産後にキャリアを維持するのが難しい」「職場復帰後の働き方に制約を感じる」といった声が多く、男女で異なる問題が存在していることが分かりました。
また、調査では育児休業制度自体の認知度は高いことが示されましたが、実際に利用するハードルが高い理由として「周囲への気兼ね」や「業務の引き継ぎが難しい」「上司や同僚の理解が得られない」といった職場環境に関する要因が多く挙げられています。育児の「共育て」に関する意識の調査では、「共育てをしたいが、実現のためには社会や職場の支援が必要だと思う」と答えた人が64.8%、「共育ては家庭にとって理想的である」と答えた人が58.2%にも上ることから、若年層では夫婦共に子育てをしたいとの意識と願望が強いことが分かりました。回答者の多くが「在宅勤務や短時間勤務など柔軟な働き方の拡充」や「育児中の社員が不利にならない人事評価制度の整備」を求めており、制度整備に加え、職場全体で育児を支える意識が必要と考えられます。
令和8年4月より被扶養者認定に係る「年間収入」の取り扱いが変わります
厚生労働省は、令和8月4月1日より、被扶養者の認定手続きに係る「年間収入」の取り扱いについて、以下のように発表しました。※以下、被扶養者として届出をし、審査を受ける者を「認定対象者」と表記
| 従来 | 令和8年4月1日以降 |
|---|---|
| 認定対象者の過去の収入、現時点の収入または将来の収入見込みなどから今後1年間の収入の見込みにより判定 |
労働契約で定められた賃金から見込まれる年間収入が130万円※未満であり、かつ、他の収入が見込まれなく、以下①②に該当する者は被扶養者に該当するものとして取り扱う。 ①認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合には、被保険者の年間収入の2分の1未満であると認められる場合 ②認定対象者が同一世帯に属していない場合には、被保険者からの援助額に依る収入額より少ない場合 |
上記認定を行う場合には、認定者は労働条件通知書等労働契約の内容がわかる書類の添付及び、他の収入はない旨の申し立てを経て確認し、行う必要があります。被扶養者の認定の適否に係る確認時において、当初想定されなかった臨時収入により、結果的に年間収入が130万円※以上の場合であっても、当該臨時収入が社会通念上妥当である範囲に留まる場合には、これを理由として、被扶養者としての取扱いを変更する必要はないとしています。※60歳以上は180万円、19歳以上23歳未満は150万円