社労士

コラム

「特定求職者雇用開発助成金が要件緩和」
「育児・介護休業法改正点」等
人事労務関連レポート 2024年11月号

2024 年11 月12 日

各種制度の変更点や、法改正など、準備・留意すべき点を解説する。

トピックス

特定求職者雇用開発助成金が要件緩和されました

 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人事確保・育成コース)には2つのメニューがあります。

【成長分野メニュー】    【人材育成メニュー】   

成長分野の業務に雇入れ+雇用管理改善or能力開発

成長分野(デジタル、グリーン)の業務に従事する
労働者として雇入れ、当該労働者への雇用管理改善や能力開発を行うもの

 

人材開発支援助成金を活用した訓練+5%以上の賃金引上げ

人材開発支援助成金に基づく50時間以上の教育訓練を
行ったうえで、雇入れ時より5%以上賃金引上げを行うもの。


    【見直しのポイント】
  • ① 人材育成メニューと成長メニューに共通した見直し
     対象となる労働者の就労経験のない職業の判断について見直しました。
      ア.過去5年間に通算1年以上の就労経験がない場合と期間を限定
      イ.過去のパートアルバイトの就労は、就労経験がないものとして扱う
  • ② 人材育成メニューの見直し
     通常50時間以上の訓練時間について、公的職業資格の取得を目的とした教育訓練(教育訓練給付の指定講座に限る)であれば、50時間未満の訓練も対象とします。

令和7年4月1日施行、育児・介護休業法改正点(介護部分)について

 労働者が仕事と介護の両立支援制度を十分に活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、育児・介護休業法が改正され、令和7年4月より適用となります。
 下記①~⑤が介護における改正のポイントとなりますので、施行に備えてご確認をお願いします。

  • ① 介護に直面した労働者が申し出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認(措置義務)
  • ② 介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援制度等に関する情報提供(措置義務)
  • ③ 研修や相談窓口の設置等の雇用環境整備(措置義務)
  • ④ 介護期の働き方について、テレワークの導入(努力義務)
  • ⑤ 介護休暇の対象者拡大(雇用期間が引き続き6ヶ月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止)

参照:【特設ページ】令和6年度改正育児・介護休業法 (mhlw.go.jp)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/ikukai0611_00008.html

東京都で全国初のカスハラ条例成立 来年4月施行

 カスハラは顧客らが優越立場を利用して、従業員らに暴言を吐いたり、不当な言いがかりをつけたりする迷惑行為ですが、被害がきっかけで従業員が精神疾患を発症し、自殺に追い込まれたケースもあります。
 東京都の条例では、カスハラを「顧客から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義され、「何人も、あらゆる場においてカスハラを行ってはならない」と明記されました。罰則のない「理念条例」のため、実効性確保が課題となりそうですが、東京都はガイドラインを年内に作成、周知する方針です。

10月1日からいよいよ開始!社会保険の適用拡大

 令和6年10月より、従業員数51人以上100人以下の企業についてもパートやアルバイトといった短時間労働者の社会保険の加入が義務化されます。
 次の全ての項目に該当する方は対象となります。詳細については弊社担当者にお尋ねください。

①週の所定労働時間が20時間以上 ②所定内賃金が月額8万8千円以上
③雇用期間が2か月を超える見込みがある ④学生ではない

令和6年度地域別最低賃金改定状況

 令和6年10月より令和6年度地域別最低賃金が改訂されました。最低賃金(時給)が全国平均で51 円引き上げられ、1,055 円となり、全国平均の引き上げ幅は過去最大でそのうち27 県では国が提示した目安を大きく上回りました。各都道府県の令和6年度の最低賃金額及び発行年月日は、下記URLを参照ください。

参照:地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

【令和6年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント】

  • 47都道府県で、50円~84円の引上げ
  • 改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)
  • 全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
  • 最高額(1,163円)に対する最低額(951円)の比率は、81.8%
    (昨年度は80.2%。なお、この比率は10年連続の改善)
  • 11月は過労死等防止啓発月間です

     厚生労働省では、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施することとされています。
     月間中は、国民への啓発を目的に、各都道府県において「過労死等防止対策推進シンポジウム」を行うほか、「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の削減や賃金不払残業の解消などに向けた重点的な監督指導やセミナーの開催、土曜日に過重労働等に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」等を行います。