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コラム

DCSと三菱UFJリサーチ&コンサルティングが共同で、人事部の機能、働き方、人事施策の方針に関する共同調査を実施

2022 年5 月11 日

澤村 啓介(さわむら けいすけ)

コンサルティング事業本部組織人事ビジネスユニット

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

HR第1部 シニアマネージャー澤村 啓介

三菱UFJリサーチ&コンサルティング入社後、戦略部門に在籍し事業性評価、業務改善等のプロジェクトに参加。現在は、戦略遂行を下支えする人事戦略、人事制度策定を支援している。

 昨年、三菱総研DCS株式会社と三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が共同で、人事部の機能、人事部の働き方、人事施策の方針について調査した。
 調査では、調査結果を踏まえ人事部として次のような変化が求められていると提言している。

■人事部の機能について

・「人事部」が「事業部門(現場)」と役割分担しながら人事業務を推進している実態が見えてきた。その背景には、人材を管理統制する役割が強かった「人事部」から、現場主体で人材活用や個性を評価していく「個」を重視した「人事部」への変化が求められている

■人事部の働き方について

・1,001名以上の企業では、コロナ禍を機に取り組みが加速したテレワークをうまく人事部にも取り入れながら、新しい働き方への転換を進めると良いであろう

■人事施策の方針について

・人事評価や給与計算のデジタル化・システム化を通じて、人事企画機能や人材開発機能の強化に必要なリソースを確保し、事業環境に応じた人事施策を速やかに講じると良いだろう

本稿では、この提言のうち、このうち人事部の機能の在り方について解説したい。
なお、調査の詳細は、こちらからPDF形式のレポートをダウンロードいただきたい。
https://mri-dgm.smktg.jp/public/application/add/9897

注目が高まるHRBPとその背景

 人事部の機能を検討するうえで参考となるのが、ミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授の提唱する戦略人事の考え方である。なお、実務的にはリクルートワークス研究所の「Works 133 人事部の、今、あるべき形」に記載ある人事部の機能を確認するのがわかりやすい。具体的には、人事部の機能は、①組織開発と人材開発、②センター・オブ・エクセレンス、③オペレーション、④HRビジネスパートナーの機能を有するというものである。
(以下、①~④は リクルートワークス研究所 2015年12月 works No.133より一部抜粋)

①組織開発と人材開発:全社の組織開発(OD)、タレント開発(TD)を牽引する
②センター・オブ・エクセレンス:社内におけるHR各専門領域の企画・設計機能として、主にBPを支援する
③オペレーション:HR の実務のエキスパートとして、地域横断、事業横断でコスト最適化、効率化をするためにシェアードサービス化、アウトソーシング化を推進する
④HRビジネスパートナー(以下、HRBP):各事業部門に寄り添い、ビジネスのパフォーマンスを最大化するために、人と組織の側面から支援する

 特に事業環境の複雑性が増す今日においては、事業の変化に応じて人事施策を素早く打つ必要性が増しているため、HRBPの機能の重要性が増している。
 2019年の経済産業省の「平成30年度産業経済研究委託事業(企業の戦略的人事機能の強化に関する調査) 事例集 (サマリー編 )」においても、先進事例としてHRBPを設置している日本マイクロソフト株式会社の事例が取り上げられており、この機能の今後の重要度の高さをうかがい知ることができるだろう。

HRBP導入のポイント

 HRBPを導入するポイントは、HRBPありきではなく、強化するべき機能は事業環境に応じた現在の組織課題などによって異なるということを認識しながら検討することである。例えば、多角化を進めていて事業によって必要な人材が全く異なるようなケースでいえば、HRBPのような機能を強化することは有効な手段となろう。一方、単一事業で必要な人材の種類も限られているということであれば、HRBPではなく別の機能を優先すべき状況の可能性もある。特に昨今の人事業務のデジタル化の進行度合いを踏まえると、まずはオペレーション機能をデジタル化により効率化を図ることを優先し、「組織開発と人材開発」「センター・オブ・エクセレンス」「HRBP」の強化は、人事業務の効率化後取り組むべき企業も多いはずである。

最後に

 少子高齢化が進み労働力人口が減少する日本では、人材を獲得し、その後の活躍に向けた人材施策はますます重要になってくる。こうした背景からも、人材を管理統制する役割が強かった「人事部」から、現場主体で人材活用や個性を評価していく「個」を重視した「人事部」への変化が求められてきている。
このいわば、一人一人を大事にしていく人事部への変化に向けて、HRBPが果たす役割は、今後ますます重要になってくるだろう。

コンサルティング事業本部 組織人事ビジネスユニット

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

HR第1部 シニアマネージャー澤村 啓介(さわむら けいすけ)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング入社後、戦略部門に在籍し事業性評価、業務改善等のプロジェクトに参加。現在は、戦略遂行を下支えする人事戦略、人事制度策定を支援している。

  • 主なコンサルティング実績

    大手金融機関:人材マネジメント方針の策定、人事制度の再構築(正社員、非正規社員)
    大手薬局チェーン:人材マネジメント方針の策定、人事制度の再構築
    大手建設業:人事制度の再構築支援、ES調査
    化学メーカー:定年延長に向けた人事制度再構築支援
    スーパーマーケット業:定年延長に向けた人事制度再構築支援
    受託開発ソフトウェア業:人事制度の再構築支援
    大手金融機関:総合満足度向上に向けたES調査 等プロジェクト実績150件以上